田中田には何でもある、その理由。懐かしい昭和のあの日、デパートの大食堂。ハンバーグ、ナポリタン、ざるそば、焼き肉、ソフトクリーム…。食べたいものがずらりと並ぶ、そこは憧れの場所だった。大人になったら料理人になって、こんな店がつくりたい。ショーケースの前に立つ少年の、いつしかそれが夢となった。田中田に来れば何でもある。肉、魚、野菜。焼き物、煮物、蒸し物、揚げ物。珍味、おつまみ、鍋物、丼物、果てはデザートまでそろう。だから割烹ではないし、ましてや料亭でもない。そう、田中田はあくまで居酒屋である。ただ、食材は最高級を徹底して追い求める。とにかく一番よいものだけを仕入れたい。本物を知る大人のための居酒屋でありたい。なぜ田中田が今のような店になったのか。そう問われると、結局、答えはこれに尽きる。